誕生日には手紙をしたためて

誕生日には手紙をしたためて

#くらしのこと

2021/10/25

これは、今年の私の誕生日にしたためた文章です。
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今日、9月6日はわたしの誕生日です。おめでたいなあ。産んでもらって育ててもらって24年目となります。ありがたいなあ。
誕生日になると家族からそれとなく聞かれるのは「誕生日プレゼント何がいい?」ということ。どっこい、ほんとうに物欲がない。厳密にいうと旬の果物がたらふくほしいとか、読みたい本は山ほどある、そういうのはあるんだけど、しかし誕生日プレゼントとして頼むようなシロモノ…の物欲を持ち合わせていない。もう何年も、誕生日プレゼントは…えっ…愛…と…図書カードかな…とか言って、ほとほと困らせている。小学生からずっと図書カードはもらうとほんとうに嬉しい。
そんなこんなで、今年もやってきました誕生日。そして思いついた。もう貰いたいものがないから、自分から贈っちゃえと。返り討ち作戦である。
思いついた、と言ったけどこれは、わたしの恋人が、自身の誕生日にわたしに手紙をくれたことに由来する。私はほんとうにびっくりしたのと、それはそれはうれしかった。宝物のように思った。その時わたしと恋人の関係は良好ではなく、それなのに手紙を、彼自身の誕生日に、手間をかけて書いて渡してくれるなんて、なんて粋な人なのだろうと思った。まるで私が誕生日なのか?とおもうような、忘れられない贈り物だった。それを私は今年から真似したい。
さっそく手紙を書いた。
書く相手は、恋人、母、妹、の3人に決めた。誕生日の二ヶ月前から、とっておきの便箋を買って、そこから文章を考え始めた。私は文章を思いつくままに手書きで書くとものすごく悠長な文章になってしまう。今回は気持ちを端的に確実に書き留めたいから、スマホのメモ機能に下書きをするところから始めた。散歩しながら、カフェでコーヒーをすすりながら、家のソファに沈み込みながら、考えては打ち、消してまた打って、を繰り返した。案外すんなりとものすごい長さを書いた。最後ははじめて入ったカフェで焼きカレーを食べたあとに勢いよく清書した。宛名を書いて、封をして。
こんなにたのしい誕生日があるのか!と思った。恋人には手渡しで、母と妹には郵送することにした。9月6日に届くように郵便局におねがいして。
ひとつ誤算が出てきてしまって、わたしはこういうサプライズがとんと苦手。サプライズされるのもするのもハラハラドキドキしてしまって苦手。苦手すぎてずっとそわそわしてしまって、なんと恋人には書いた翌日に(=誕生日のそうとう前に)手渡してしまった(大誤算)!もちろん誕生日はまだ先。「誕生日にくれると思ってたけど…!ありがとう」とややおどろきながら受け取って読んでくれた。はぁー、待つのは苦手なのよ。受け取ってくれてありがとう。
やっぱり、こんなにたのしい誕生日があるのか、と目が覚めたような気持ちがしてる。
書きながら、愛することのできる人がいることのしあわせを思った。大袈裟ではない。愛してるよと何度でも書ける、心の底から書ける、それを読んでくれる、気持ちの届く、そういう存在のこの世にいることのかけがえのなさったらない。通じるって、単純だけど、すごいことなんだ。愛されるよりずっとずっとずっと、愛することのできるということは、かげがえがなく、しあわせなことと思う。
だれもが年に一度はおとずれる誕生日。
愛を受け取るだけでなく、愛を贈る日にしてはいかがだろう。
さて、無事に届きますように。
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後日談
母と妹にも無事に手紙が届き、ささやかながら気持ちを伝えることができました。照れくさいことも手紙では言えてしまうから、もう、誕生日じゃなくたって手紙を渡しあったらいいんじゃないのかしらなんて、心の扉がぱあっと開いてしまった。いいこと、いいこと。

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心と身体を大切にして、寒いのであっためてほぐして、お過ごしください。
Have a good day!

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